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Category 【August, 2014】

解散 2014:08:16:13:09:17

【解散】

ご無沙汰しております。座光寺るいです。
お盆の時期を、皆様どうお過ごしでしょうか。
長野はお盆といえども朝晩は涼しい風がふき、早くも秋の足音がうっすらと感じられます。


私はというと、「ボク、ずーっとあのお空を見てたんだよ」と4歳になったばかりの息子が、今朝4時半に窓を指さしたお陰で、ちょうど一年前の朝と同じように、朝から空を眺めておりました。東の山から顔を出した太陽が、空を美しいピンク色に染めていて、とても幸せな気持ちになりました。
TEDxSakuのライセンスがおりたのが、ちょうど1年前の今日、8月15日でした。明け方の布団の中で承認のメールを読み、寝ぼけた頭で、しかし、よしやるかと気合を入れたのを覚えています。


asayake20140815.jpg


初めてのTEDxSakuが5月11日に終わって、早いもので3ヶ月が過ぎました。まだまだ事後処理が整理しきれず、アタフタしておりますが、それぞれのスタッフがTEDxSaku前後の慌ただしかった時期を終えて、それぞれの生活に戻っています。

漠然としていますが、「地に足がついたものにしたい」という感覚を持ってTEDxをSakuで開催することを目指しました。
TEDxSakuに関わってくださった多くの人が、TEDxSakuを経たからと言って、浮かれることなく、しかし確実に何かを得た上で、いつもの生活に戻り、家族や友人たちと過ごしていること、そういう感覚をきちんと持つことが、とても大事なことだと私自身は考えています。

昨年ライセンスを得てから、いろんな回り道をして、多くの仲間を得て、沢山の方々に支えられ、5月の開催にこぎつけられたこと、この一年で得たもの、感じたもの、学んだことは数知れません。そして改めて、多くのご協力いただいた皆様、ご理解を頂いた皆様には、心より御礼申し上げます。

*

これから何を目指すのか、TEDxSakuはどこに向かうのがいいのか、いろんな方にいろんなご意見を頂き、私も5月11日を終えてから、考えていました。そもそも、何かを「目指す」ことが果たして正しいのか。

中学高校の恩師の先生が教えてくれたことを、大人になってからいくつも実感を伴って思い出していますが、彼女に教わったことのうちの一つを、最近強く意識して思い出します。

時代の中で、社会の大きな流れが右に向かっている時は、真実(中心)を主張する人は左の端の異端児になり、左に流れている時は、真実を主張する人は右の端の異端児になる。大きな流れがある中でも、きちんと真実を見極め、例え少数派になってでも、足をそこに据え続けることが、どんなに尊いことか、ということ。

そんなことを、中学生の頃だったか、先生はある授業の中で教えてくれました。
TEDxSakuを終え、世界を見渡して、自分の回りを見渡して、そして次のステップをより具体的に想像した時、先生の言葉が、強く思い出されてきたのです。

私は流されていないか、社会通念や社会常識や、流行りのカタカナ言葉に踊らされていないか。立ち位置はどこだ、真実はどこだ、そういう気持ちで、右端だろうが左端だろうが真実がある場所に杭を打ちたい、自分の感覚を信じて生きたい。そう強く思うようになりました。

次回のTEDxSakuを行うにあたって、初回のTEDxSakuの二番煎じにはしたくない。TEDxは、義務にかられてやるものでもないし、かならずやり続けなければいけないようなものでもありません。仕事や家庭や地域生活があって、それをより良くするためのエッセンスだと思っています。TEDxをこの地で実現していくためには、TEDxに求められているものがあってこそです。
この先ずっとTEDxSakuが永遠につづくかどうかはわかりません。

次を実現するのであれば、またイチから丁寧に作り上げていきたいと考えています。今年の5月11日に実現したものを、真似て作ることも、目指すこともせず、今、この場所で、この時に、何に光を当てるべきか、どんなカタチで発信すべきか、改めて固めて行きたいと考えています。

そこで、ライセンスを得てからちょうど一年の本日をもって、自分の感覚をこんなに理解してくれる人達、考え方をぶつけ合える人たちに沢山出会えた2014年のTEDxSakuコミュニティに感謝しつつ、今回のTEDxSakuスタッフは解散をしたいと思います。

解散といっても、一度構築された大事なつながりですので、きっとこれからもいろいろなところでつながり、広がりを見せていくでしょう。私にとっても、今回スタッフの皆さんと一緒に活動できたことで、かけがえのない大事な仲間ができました。これだけ沢山の人と一緒に一つのことに向かい、信頼関係を構築できたことは、これ以上ない財産です。

今回関わってくれた仲間も、もしかしたら来年も関わってくれることになるかもしれません。ただし、ライフステージが変化する人もいるでしょう、TEDxSakuでの経験を通じて、あるいはまったく別のきっかけで、自分の生き方を見つめなおしたい人もいるでしょう。TEDxSakuを通じて得たものも感じたものも様々であるはずです。TEDxSakuを一度終えた今のタイミングで解散をして、スタッフそれぞれの考えや、思いや、人生を、尊重したいと思っています。

なお、今回のTEDxSakuの後処理として残っているいくつかのタスクについては、完了次第、皆様にお知らせをしていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
さしあたり、TEDxSakuに関わってくれたスタッフのクレジットの更新作業を完了しました。
Organizersのページより御覧ください。


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最後に、来年に向けての、私の思いを少しだけ。

「麦畑」というお話をご存知ですか?
私が小学生の時に、国語の教科書に載っていたアリソン・アトリー作の物語です。物語全体を通じて、穏やかで、ゆったりとした調子で、よく言えば平和な、悪く言えば平坦で単調なお話。でも、私はこのお話がとても好きでした。何度も何度も大きな声で朗読していたので、手元にもう当時の教科書はありませんが、一番好きだったフレーズは未だにするすると出てきます。

 お月さんのランプにお星さんの蝋燭
 夜ごとはるばる彷徨うおいら

主人公は、臆病で昼間はひっそりと隠れるように暮らしているハリネズミ。彼は麦の穂が伸びるところを見る為に夜道を歩いていて、年老いて走り回ることができなくなってしまった野うさぎと、一人ずぶぬれで暮らしているカワネズミに出会い、麦畑に共にゆくことにします。
途中通りかかった自動車は恐ろしくて、しかもそのライトはまぶしすぎて目が痛いけれど、お月さんのランプとお星さんの蝋燭は、優しく彼らを導いてくれる、そんな3匹の思いが、上の2行のような歌になって口ずさまれます。
普段はひっそりと暮らしている3匹が出会い、歌いながら月夜の下を麦畑まで歩き、小麦たちがそよそよと風になびき、穂と穂がこすれあう、喜びの囁きをきくのです。そして三匹はその美しい麦畑を前に言います。
「麦がゆれるのを眺めて、この音を聞く。それだけでいいんだよ」

またしても漠然としていますが、そんなふうに3匹に思わせる麦畑のようなTEDxをしてみたいと、私は考えています。
猛スピードで走る自動車も、ぎらぎらと照らすライトもいらない、月のランプと、星の蝋燭に照らされて、静かに、誇り高く、喜びを囁き合う麦畑のような、そしてそれを肩を寄せあって静かに眺めるような、そんなTEDxを。

来年のTEDxについては、まだまだ構想段階です。
次回のTEDxSakuについては、準備が整い次第、少しずつ情報を発信していきたいと考えています。

ひとまず、今回のTEDxSakuにスタッフとして関わってくださった皆さん、お疲れ様でした。そして、こころから、ありがとう。

2014年8月15日
TEDxSaku 代表  座光寺 るい


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